勝てなかった。それでも、見えたものがある
2026年3月21日、中山競馬場。G3・フラワーカップ(芝1800m)は1番人気イクシードが3着に惜敗した。
1着はスマートプリエール(6番人気・タイム1:48.3)、2着ロンギングセリーヌ(9番人気)という波乱の決着。3連単は213,970円を記録した。
だが着順だけ見て「負けた」と切り捨てるのは早計だ。骨折明けのキャリア2戦目、精神面の課題を抱えたまま挑んだこのレースで、イクシードが弾き出した末脚は全馬最速の上がり3ハロン33.6秒。負けて強しの内容が、この超良血牝馬の先行きを明るく照らしている。
なぜ5ヶ月半も休んでいたのか
昨年10月の東京・新馬戦。イクシードは出遅れながら後方から外々を豪快に追い込み、1馬身半差の圧勝で初陣を飾った。「遊びながら走っているようなところもあった」と陣営が語るほどの余裕ある勝利だったが、その直後に右前橈側手根骨(とうそくしゅこんこつ)の骨折が判明した。
以後、ノーザンファームでの休養を経て、2026年2月中旬に美浦トレセンへ帰厩。フルゲート15/17の抽選も突破し、骨折から約5ヶ月半ぶりの実戦復帰にこぎつけた。
追い切りの真実と陣営の本音
最終追い切り(3月18日)は美浦Wコースで3頭併せ。外のギャニミード(3歳未勝利)に半馬身先着し、内のエンジェルラダー(4歳1勝クラス)と併入。力強い動きを見せた一方、システムトラブルにより調教タイムは計測不能というアクシデントもあった。
太田助手のコメントは正直だった。「追い切りを重ねて動きは着実に良くなっていますが、まだ精神面も含めてひ弱さがかなり残っています。中間はゲート練習もしていますが、良くなってほしい部分が多い現状ですね」「胸を張って競馬にいけるようになるのはもう少し先。今の段階で発揮できるパフォーマンスで、どこまでやれるかですね」。
つまり陣営は「仕上がり途上」を認めたうえでのフラワーC挑戦だった。それが今日の結果の文脈をより深いものにしている。
レース回顧|スロー展開・後方から全馬最速33.6秒
ペースはスロー(前半1000m通過61.2秒)。先行馬が有利な流れの中、イクシードはコーナーで後方に位置。4コーナーから大外を押し上げ、直線で一気に加速した。最後は勝ったスマートプリエールとの差は半馬身のところまで詰め寄れなかったが、刻んだ上がり33.6秒は16頭立て全馬の中でただ一頭の最速数字だ。
前が止まらないスロー展開での後方追走、骨折明け・精神面の課題・調教タイム計測不能
それらのハンデを全部背負って、ルメール騎手を背に出した末脚は本物だった。
次走への展望|オークスへの道筋
骨折明け初戦でG3・3着、全馬最速上がり。
この結果はオークス(5月・東京芝2400m)トライアルとしての価値を十分に示した。
キタサンブラック産駒の全兄イクイノックスが真価を発揮したのは3歳秋以降。
イクシードも「胸を張って競馬ができるようになるのはもう少し先」という陣営のコメントが示すとおり、まだ完成形ではない。
この馬名が英語で「超える(exceed)」を意味すると聞けば、春のクラシック戦線でその名の通りの走りを見せる日が楽しみになってくる。
「Exceed」——兄を超える日は、近い。
📊 レース結果データ
| 着順 | 馬名 | 人気 | タイム | 上がり3F |
|---|---|---|---|---|
| 1着 | スマートプリエール | 6人気 | 1:48.3 | 34.0 |
| 2着 | ロンギングセリーヌ | 9人気 | 1:48.4 | 35.0 |
| 3着 | イクシード | 1人気 | 1:48.4 | 33.6★最速 |
| 4着 | アメティスタ | 3人気 | 1:48.4 | 34.6 |
払戻: 単勝1,280円 / 複勝160円(イクシード)/ 3連単213,970円


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