ランキング出典:『優駿』第3回「未来に語り継ぎたい名馬BEST100」(2024年実施・JRA70周年記念企画) 投票方式:1位=10pt〜10位=1ptの加重ポイント制。投票者数は延べ8,000人超。
なぜ「名馬の背中」を語るのか?
タイムや着差だけでは伝わらないものがある。プロの騎手だけが知る「加速の質」「ハンドリングの精密さ」「ゲートの中の気配」。ファンが選んだ順位に、実際にその背中を知る騎手たちの言葉を重ねると、名馬の”本当の凄さ”が見えてくる。
【第10位】キタサンブラック
| 項目 | データ |
|---|---|
| 投票ポイント | 14,684pt(投票者2,818人) |
| 戦績 | 20戦12勝・GI 7勝 |
| 前回順位 | 圏外(2015年は現役中) |
武豊騎手は引退式で声を震わせた。
「改めて素晴らしい乗り味だと思いました。本当に乗っていて気持ちの良い馬」(umanity.jp・2018年1月)。
さらにNumber誌では「走れと言われたらどこでも走る気がします。ダートでもやれるだろうし、マイルでも戦えると思う」とまで語っている。
350万円で購入された馬が18億円以上を稼いだシンデレラストーリー。
北島三郎オーナーの「まつり」が響いた有馬記念は、今も競馬史に残る名場面だ。
【第9位】ウオッカ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 投票ポイント | 16,745pt(投票者3,340人) |
| 戦績 | 26戦10勝・GI 7勝 |
| 前回順位 | 4位(↓5) |
64年ぶりに牝馬で日本ダービーを制した衝撃。
四位洋文騎手は「ダービー馬です!」と絶叫した。
ダイワスカーレットとの安田記念ハナ差決着は「何百回見ても鳥肌が立つ」と語る競馬関係者が多い。
“女帝”の名にふさわしい、力で時代をこじ開けた牝馬だった。
【第8位】ナリタブライアン
| 項目 | データ |
|---|---|
| 投票ポイント | 19,426pt(投票者3,121人) |
| 戦績 | 21戦12勝・GI 5勝 |
| 前回順位 | 6位(↓2) |
菊花賞7馬身差。
あの圧勝劇を見た南井克巳騎手は「直線で追い出した瞬間、異次元の加速だった」と振り返る。
“シャドーロールの怪物”の名は伊達じゃない。
短すぎたピークと、晩年の輝きの喪失が、かえってファンの記憶に深く刻まれている。
【第7位】トウカイテイオー
| 項目 | データ |
|---|---|
| 投票ポイント | 21,854pt(投票者3,405人) |
| 戦績 | 12戦9勝・GI 4勝 |
| 前回順位 | 8位(↑1) |
4度の骨折、3度の復活。
そして1年ぶりの出走となった1993年有馬記念──
4番人気・単勝9.4倍からの劇的勝利。
田原成貴騎手はウイニングラン後のインタビューで声を詰まらせ、敗れた岡部幸雄騎手は「テイオーに差されたなら仕方ない」と語った(netkeiba・2018年12月)。
ウマ娘世代の新規ファンが投票に加わり、前回8位から7位へ浮上。
“不屈の帝王”は、時代を超えて愛され続けている。
【第6位】サイレンススズカ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 投票ポイント | 24,683pt(投票者3,710人) |
| 戦績 | 16戦9勝・GI 1勝(宝塚記念) |
| 前回順位 | 5位(↓1) |
GIはわずか1勝。それでも6位。
この事実が、サイレンススズカという存在の異質さを物語る。
武豊騎手は「走っているというより飛んでいるような感じ」と語った(優駿Web)。
1998年毎日王冠でエルコンドルパサー・グラスワンダーをまとめて千切った”異次元の逃げ”は、日本競馬史上最も美しいレースの一つだ。
天皇賞(秋)での悲劇がなければ──
その”if”が、永遠にファンの胸を締めつける。
【第5位】アーモンドアイ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 投票ポイント | 26,041pt(投票者4,094人) |
| 戦績 | 15戦11勝・芝GI 9勝(史上最多) |
| 前回順位 | 圏外(2015年はデビュー前) |
初登場で5位。芝GI9勝は歴代最多記録。
ルメール騎手はゲートの中での気配を「アーモンドアイとイクイノックスはライオンだった」と表現した。
2020年ジャパンカップ、無敗三冠馬2頭を相手に勝った3冠牝馬。
あのレースは、世代を超えた”最強決定戦”として語り継がれる。
【第4位】オルフェーヴル
| 項目 | データ |
|---|---|
| 投票ポイント | 36,924pt(投票者5,414人) |
| 戦績 | 21戦12勝・GI 6勝(三冠含む) |
| 前回順位 | 2位(↓2) |
史上7頭目の三冠馬にして、最も”危険な”三冠馬。
阪神大賞典での逸走は競馬史に残る衝撃映像だ。
鞍上の池添謙一騎手はYahoo!ニュースのインタビューで「普通の競馬をさせようとしても、この馬には通用しなかった」と語り、レース中に恐怖を感じて止めることすら考えたと明かしている。
それでも凱旋門賞で2年連続2着。
世界の頂にあと一歩まで迫った日本馬は、この馬の前にも後にもほとんどいない。
最後の有馬記念、8馬身差の圧勝で引退した姿は、まるで「俺はこんなもんじゃない」と吠えているようだった。
天才か、暴君か。
その答えは今も出ていない。
だからこそファンは語り続ける。
前回2位から4位へ後退したのは、イクイノックスとアーモンドアイの初登場に押された形。
実力への評価が下がったわけでは決してない。


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