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【ダービーの歴史】1780年英国貴族の賭けから始まった競馬の祭典|日本ダービー93回の系譜

5月31日、東京競馬場・芝2400m。第93回日本ダービーが間もなく号砲を迎える。

「ダービー馬のオーナーになりたいなら、まず一財産築け」

競馬界に古くから伝わる格言だ。ホースマンの最高栄誉、3歳馬たった一度きりの晴れ舞台。だがその歴史を、競馬ファンですら正確に語れる人は意外と少ない。

北海道の現場帰り、缶コーヒー片手にひとこと言わせてもらう。

「歴史を知ると、ダービーは10倍面白くなる」

 1780年英国エプソムから1932年目黒競馬場、現代の東京競馬場へとダービーの歴史が繋がる壮大なイラスト

始まりは1780年|英国貴族のコイントスから

ダービーという競走の起源は、1780年5月4日のイギリスまで遡る。

舞台はロンドン郊外・エプソムダウンズ競馬場。第12代ダービー伯爵エドワード・スミス・スタンレーと、その親友サー・チャールズ・バンベリーが、新しい競走を創設しようとしていた。

問題はレース名をどちらの名前にするか。コイントスで決めることになり、ダービー伯爵が勝った。

もしバンベリーが勝っていたら、世界中の競馬の祭典は「バンベリー」と呼ばれていたかもしれない。

偶然が歴史を作った瞬間だった。

第1回ダービーステークスを制したのは、ダイオメドという馬。賞金は1,065ポンド。これが世界中の競馬国家が模範とすることになる、伝説の幕開けだった。

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1932年|日本ダービー誕生

本家から152年遅れて、日本にもダービーが誕生する。

1932年(昭和7年)4月24日、東京・目黒競馬場で「東京優駿大競走」として第1回が開催された。

距離は当時から芝2400m

英国ダービーと同じ設定で、本家への敬意がそのまま表現されていた。

19頭立ての記念すべき第1回を制したのは、ワカタカという馬。4コーナーで早めに先頭に立ち、そのまま押し切る完勝だった。

その後、競馬場は目黒から府中(現在の東京競馬場)へ移転。戦時中も中断を挟みながら開催を続け、93回という気の遠くなる歴史を積み重ねてきた。

日本ダービー史を彩った伝説の名馬たち

ここからは、競馬ファンの記憶に深く刻まれた歴代ダービー馬を厳選で紹介する。

🌟 シンザン(1964年)|戦後初の三冠馬

戦後最初に三冠を制した名馬。「シンザンを超えろ」が長年競馬界の合言葉となった、まさに伝説の始祖。

🌟 シンボリルドルフ(1984年)|皇帝の異名

無敗で皐月賞・ダービーを制し、史上初の無敗三冠を達成。岡部幸雄騎手とのコンビは「絶対王者」の代名詞となった。シンザンからディープインパクトまでの空白期間で唯一現れた史上最強馬と評される。

🌟 ナリタブライアン(1994年)|シャドーロールの怪物

3歳時の圧倒的な強さは「怪物」の名にふさわしく、皐月賞・ダービー・菊花賞を全て大差勝ち。アイマスク代わりのシャドーロールが象徴的だった。

🌟 ディープインパクト(2005年)|飛ぶ馬

飛んでいる」と評された走法。ダービーでは直線大外から5馬身差の圧勝。引退後も種牡馬として日本競馬界を変えた、まさに次元の違う存在。

🌟 コントレイル(2020年)|父子無敗三冠

父ディープインパクトに続く、史上初の父子無敗三冠を達成。生まれた瞬間から運命づけられたような奇跡の存在だった。

🌟 ドウデュース(2022年)|武豊6度目の歓喜

レジェンド武豊が6度目のダービー制覇。歴代最多記録を更新し、「武さんはまだ終わってない」を証明した名場面。

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ダービーの記録|知っておきたい数字たち

データで見るダービーの凄み。

🏆 最年少優勝騎手:前田長吉(1943年)20歳3ヶ月
🏆 最多勝利騎手:武豊(6勝)
🏆 最多勝利調教師:藤沢和雄ほか
🏆 最多勝利種牡馬:サンデーサイレンス系・ディープインパクト系
🏆 無敗ダービー馬:シンボリルドルフ、ディープインパクト、コントレイル他
🏆 三冠馬:8頭(セントライト、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイル)

ダービーは1年に1度、3歳馬しか出走できない
つまり、競走馬として生涯にたった一度のチャンス。
これが「ホースマン最高の栄誉」と呼ばれる所以だ。

SNSが熱い|競馬ファンの“思い出のダービー”

X(旧Twitter)で「思い出のダービー」を調査すると、世代ごとに語られる名場面が違って面白い。

「サニーブライアンの大逃げ忘れられん。あの距離をあのペースで逃げ切る怪物」(50代男性)

「シャフリヤールが鼻差で差し切った2021年。地鳴りのような歓声が忘れられない」(30代女性)

「ディープインパクトの直線、本当に飛んでた。テレビの前で叫んだ」(40代男性)

「2022年の武豊さんの6勝目、号泣した。レジェンドはまだ終わってない」(60代男性)

「コントレイル無敗三冠、これを生で観られた俺は幸せ者」(20代男性)

ダービーは、世代を超えて語り継がれる物語を毎年生み出している。

第93回ダービー2026|歴史に刻まれるのは誰か

2026年5月31日、第93回日本ダービー。
出走予定馬18頭の中から、新たな歴史を刻むのは誰か。

注目株を抜粋すると

🐴 ロブチェン(皐月賞1着・松山弘平)
🐴 リアライズシリウス(皐月賞2着・津村明秀)
🐴 ライヒスアドラー(皐月賞3着・佐々木大輔)
🐴 ゴーイントゥスカイ(青葉賞1着・武豊)
🐴 アウダーシア(スプリングS1着・D.レーン)

歴代最多7勝目を狙う武豊、戦後最年少クラスの偉業に挑む22歳の佐々木大輔、トップジョッキーたちが鎬を削る。

「ダービー馬は、ダービーになる前から決まっている」

これも競馬界の格言だ。

血統・実績・運命──全てが揃った時、馬は伝説になる。

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北海道のオヤジから|なぜダービーは特別なのか

50代になると、ダービーを観る目が変わってくる。

若い頃は「どれが勝つか」だけが興味の対象だった。今は違う。

生産者の苦労、調教師の人生、騎手の覚悟、馬主の夢──

18頭それぞれの背景に物語があることが見えてくる。

北海道日高地方には、ダービー馬を夢見て生産を続ける牧場が数えきれないほどある。1頭の馬を競馬場に立たせるまでに、どれほどの人と時間が動いているか──

現場仕事をしてる人間ほど、その重みがわかる。

1780年の英国貴族のコイントスから始まった物語は、今もこの日本で、新たな1ページを刻み続けている。

5月31日15時40分。府中の長い直線で、また一つ伝説が生まれる。

歴史を知る者だけが、その瞬間の重みを本当に理解できる。